本ページでは、TikTok広告との成果連携における設定の流れとポイントを分かりやすく解説します。
概要
TikTok広告経由でLINE友だち追加が発生した場合に、それをTikTok広告マネージャー上でコンバージョン(成果)として計測できるようにする設定します。
従来、ブラウザ上のピクセル計測のみでは計測漏れが起こる可能性がありましたが、サブスクラインとTikTokイベントAPIの連携により、サーバー経由で確実にコンバージョンデータをTikTokに送り、広告のレポートや最適化に反映できます。
これにより「どの広告からどれだけLINE友だち追加につながったか(その後のCVRやLVも分析可能)」を正確に把握でき、広告費用対効果の向上やリターゲティング精度の向上につながります。また、取得したコンバージョンデータをもとにTikTok側で類似オーディエンスの構築や入札最適化が行われ、結果的に広告ROIの改善や長期的なLTV向上が期待できます。
POINT: TikTokイベントAPIの導入により、ウェブ・アプリ・オフラインなど様々なチャネルのマーケティングデータを安全にTikTokと共有でき、計測精度向上と持続的な広告運用が可能になります。
設定手順の全体像
TikTok広告とサブスクラインの連携設定は、大きく以下のステップで行います。
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TikTok広告マネージャー側の準備: コンバージョン計測用のピクセルを用意し、イベントAPI(サーバー連携)を有効化してピクセルIDと**アクセストークン**を取得します。
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広告のクリックID(ttclid)の受け渡し設定: TikTok広告からLP(ランディングページ)へユーザーが流入する際の**TikTokクリックID (ttclid)**を取得・保持し、LINE友だち追加完了まで引き継ぎます。広告側では通常自動付与されるttclidパラメータを利用します。
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サブスクライン側でのコンバージョン通知設定: サブスクラインを用いてLINE友だち追加時にTikTok側へ成果発生を通知します。具体的には、友だち追加完了後にTikTokのコンバージョンイベントが発火するよう設定します(ブラウザ上のピクセル発火またはイベントAPI経由のポストバック通知)。
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エンドポイント設定と確認: TikTokイベントAPIに送信するパラメータを正しく構成し、指定のエンドポイント(例:
/open_api/v1.2/pixel/track/
)へデータが送られるようにします。最後に実際にコンバージョンが計測できるかTikTok広告マネージャーで確認し、重複計測や漏れがないか検証します。
それでは各ステップについて、順を追って詳しく説明します。
1. TikTok広告マネージャー側の設定
まずはTikTok広告マネージャー(TikTok For Business)上で、コンバージョンデータ連携に必要な設定を行います。すでにTikTokピクセルをお持ちの場合はそのIDと後述のトークンを取得し、新規の場合はピクセルの作成から行います。
TikTokピクセルの作成とイベントAPI有効化
TikTok広告マネージャーにログインし、「ツール > イベント > ウェブイベント」と進んでピクセルの設定画面を開きます。既存ピクセルを使う場合はそのピクセルIDを控え、次にピクセルの詳細設定画面へ進んでください。
新規に作成する場合は、「データソースを接続」からウェブイベントの手動設定でピクセルを作成します。
ピクセル作成時に名前を入力し、イベントの目的(例:「注文 - コンバージョンに追加」など)を選択します。また設定フロー内でイベントAPIを利用するオプションがあればチェックを入れて有効化してください。
ピクセルを新規作成すると、TikTokイベントマネージャーの「ウェブイベント一覧」にピクセルが表示されます。
ピクセル名の下に示されているIDがピクセルIDです。
このIDは後でサブスクライン側の設定で使用するため、メモしておきましょう。既存ピクセルを利用する場合も同様に一覧から対象ピクセルのIDを確認できます。
アクセストークンの取得(イベントAPI用)
次に、TikTokのイベントAPIを利用してサーバー経由でコンバージョン送信を行うため、アクセストークン(Access Token)を発行します。先ほどのピクセル一覧から対象ピクセルを選択し、画面右上の「設定」タブを開いてください。設定画面を下にスクロールすると「イベントAPI」の項目があります。【アクセストークンを作成】と書かれたボタンをクリックすると、システムが自動でアクセストークンを生成します。
TikTokピクセルの設定タブ画面です。
「イベントAPI」欄にある「アクセストークンを作成」ボタン(上図ピンク枠)をクリックすると、下部にトークンが表示されます。
生成されたアクセストークン(英数字の文字列)をコピーし、こちらも安全な場所に保存してください。
このトークンは今後TikTok側とのAPI通信で必要になりますが、TikTok側には保存されないため再取得できません。必ず忘れずに控えておきましょう。
補足: アクセストークン発行にはピクセルの管理者権限が必要です。またTikTok広告マネージャーでコンバージョン目的のキャンペーンを実施するには、ピクセルまたはイベントAPIの設定が事前に完了している必要があります。
2. TikTok広告からLPへのトラッキングパラメータ設定
続いて、TikTok広告のクリックからLINE友だち追加まで、**ttclid(TikTok Click ID)**を引き継ぐための設定です。
ttclidはTikTok広告のリンク先URLに付与される一意のパラメータで、どの広告クリックから発生したコンバージョンかを紐付けるカギとなります。
TikTok広告のURLにttclidを付与する
TikTok広告ではttclidが自動的に付与される仕様になっています。
そのため通常は広告側で特別な設定をしなくても、ユーザーが広告をクリックしてLPにアクセスした時点でURLにttclid=<ランダムID>
が付与されます。たとえば、LPのURLが https://example.com/lp
だった場合、クリック後に実際にアクセスするURLは https://example.com/lp?ttclid=XXXXX...
のようになります。
注意: 万一、自動付与が機能しない場合や、広告の最終URLに手動でパラメータを追加する必要があるケースでは、TikTok広告の入稿URL末尾に &ttclid=__CLICKID__
を付与してください。__CLICKID__
はTikTok側で広告クリック時に自動置換される特殊変数です。もっとも、前述の通り現在は自動付与が基本のため、手動付与は通常不要です。既に手動付与を行っている場合は二重で付与されttclid値が不安定になる可能性があるため、設定を見直してください。
LPにユーザーが到達したら、まずttclidの値を保持します。具体的には、LP側のスクリプトでttclidを取得し、CookieやlocalStorageに保存しておくと安全です。
これはユーザーがLPから別ページ(LINE友だち追加用のページなど)に遷移しても、ttclidが失われないようにするための対策です。サブスクラインを利用する場合、トラッキング対応LIFFを経由してttclidを保持したまま友だち追加させる実装が可能です。
LINE友だち追加ボタンの設計(LIFFによるttclid引き継ぎ)
LP上に「LINEの友だちに追加する」ボタンを設置する場合、直接LINE公式アカウント友だち追加URLに飛ばすのではなく、トラッキング対応LIFFを経由する方法が推奨されます。
LIFFを使うことで、一度LINE内ブラウザを開きつつttclidなどのパラメータを維持し、その後自動的にLINEアプリ上で友だち追加やWebページへの誘導が可能になります。
サブスクラインでは、トラッキング用LIFFアプリURLを提供しており、それを利用することで実装が容易になります。
詳細については流入元分析 (広告トラッキング)をご参照ください。
3. サブスクライン側でのコンバージョン計測設定
次に、サブスクライン側でLINE友だち追加の発生を検知し、TikTokにコンバージョンを通知する設定を行います。
基本的な考え方は、(流入元パラメータ付きで)友だち追加完了→サブスクライン自動応答でtiktokイベントAPIにポストバック通知による成果連携という流れを作ることです。
TikTokイベントAPI(サーバー側ポストバック)による連携
サブスクラインからTikTokのイベントAPI(コンバージョンAPI)に直接コンバージョンデータを送信することが可能です。
この方法ではユーザーのブラウザ上でタグを発火させる必要がなく、サーバー間通信で確実にデータ連携を行えます。ブラウザの制限や通信不備による計測漏れを防げるメリットがあります。
サブスクラインでは自動応答機能内のポストバック通知機能を用いて、特定のイベント発生時に所定のURLへPOSTリクエストを送信することが可能です。
LINE友だち追加が発生した際にTikTokのエンドポイントへ通知を飛ばす設定例を紹介します。
設定方法の一例: サブスクラインの管理画面で「自動応答」を開き、イベントタイプ:ポストバック発生時のポストバック通知URLとして以下URLを登録します。
https://api.subscline.jp/api/v1/client/##CLIENT_ID##/postback/post
?header={
"Access-Token": "##ACCESS_TOKEN##",
"X-Event-Source-ID": "##PIXEL_ID##"
}
&body={
"event_source": "web",
"event_source_id": "##PIXEL_ID##",
"data": [
{
"event": "##EVEMT_NAME##",
"event_time": "{{now}}",
"user": {
"external_id": "{line_user.hashId}",
"ttclid": "{referer.ttclid}"
}
}
]
}
&url=https://business-api.tiktok.com/open_api/v1.3/event/track
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以下、置き換えが必要な変数
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##CLIENT_ID##: サブスクラインのクライアントID。
サブスクライン管理画面 > 設定 > 企業情報設定 にて確認できます。
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##PIXEL_ID##: TikTokピクセルのID(ピクセルコード)。先ほど控えたIDを指定
- ##ACCESS_TOKEN##: TikTok広告のアクセストーン。先ほど控えたTOKENを指定
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##EVEMT_NAME##: コンバージョンイベント名。例:「CompleteRegistration」など
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以下、置き換え不要な変数
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{line_user.hashId}: イベントの一意ID。重複計測防止のためのユニークなIDを設定(例:LINEユーザーID)
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{{now}}: コンバージョン発生時刻のタイムスタンプ(Unix秒)
- {referer.ttclid}: TikTok広告のクリックID
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上記情報をサブスクラインからTikTok APIへ送信することで、TikTok広告マネージャー側にコンバージョンが記録されます。
上記はフォーマット例ですが、実際にはご自身のピクセルIDやトークン情報に置き換えてください。
また、external_idは毎回固有になるように生成します。同じイベントをピクセル経由とAPI経由の両方で送る場合、external_idが一致していればTikTok側で自動的に重複を排除して一回のコンバージョンとしてカウントされます。したがってピクセルとサーバーの両方を使うハイブリッド計測でも二重計測の心配がありません。
4. 最終確認と運用時の注意点
設定が完了したら、実際にTikTok広告からの流入~LINE友だち追加までテストを行い、コンバージョンが計測されるか確認しましょう。テスト用に自社のLINE公式アカウントで友だち追加を行い、サブスクライン側でWebhook通知ログやコンバージョン発生ログを確認します。TikTokイベントAPI経由で通知が送られていれば、TikTok広告マネージャーのイベント履歴に反映されるはずです。広告マネージャーのレポート画面で、該当キャンペーン/広告のカスタム列から「ページイベントデータ > コンバージョン(CompleteRegistrationなど)」をチェックすると、受信したコンバージョン数を確認できます。
運用開始後も、定期的にTikTok広告マネージャー上のコンバージョン数とサブスクライン上で計測している実数に乖離がないかモニタリングしてください。万一通知漏れが発生している場合、ttclidが正しく引き継がれているか(特にリダイレクト時のパラメータ漏れ)やイベントAPIのリクエストがエラーになっていないかを確認します。TikTok側のイベントマネージャーでエラーが報告されていれば内容に従って修正してください。
注意点まとめ:
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ttclidの引き継ぎ漏れ防止: ブラウザコンテキストが変わるとCookieやストレージが共有されない場合があります。必ずURLクエリにttclidを付与して次ページに渡すようにしましょう。
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イベントの重複送信対策: ピクセル計測とサーバー計測を併用する場合は、同一event_idを使って送信することでTikTok側で重複除外されます。逆にevent_idが異なると二重計測になるため注意してください。
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テスト時の反映遅延: TikTok側でイベントが反映されるまでに数分程度かかる場合があります。リアルタイムに近い形で反映されますが、テストの際は少し待ってから管理画面を確認してください。
以上がTikTok広告とサブスクラインをコンバージョンベースで連携する手順となります。適切な計測設定により、LINE上のユーザー獲得をTikTok広告の成果として可視化し、広告運用のPDCAに役立てましょう。サブスクラインを活用することで、自社開発を行わずにこうした広告計測の高度化を実現できます。ぜひ本マニュアルを参考に、TikTok広告×LINEマーケティングの効果最大化にチャレンジしてみてください。